赤い月、廃駅の上に [本]
10作品の短編からなる有栖川有栖版『世にも奇妙な物語』という趣きです。そこはかとなく怖く、もの悲しく、時に心がほっこりする鉄道にまつわる怪談集です。
[夢の国行き列車]
えっ、これで終わり?と思ってしまいましたが、人生の悲喜こもごもを感じさせる切ない話。
[密林の国へ]
何処に連れて行かれるのか分からない汽車の旅。地続きではあるのに後戻りできないという焦燥!?
[テツの百物語]
鉄道マニア5人が集まって、百物語を行う(実際は5話だけれども)。その果てに現れたのは幽霊列車!?
[貴婦人にハンカチを]
哀しい話かと思いきや、最後は心がほっこりする話。
[黒い車掌]
死の直前に人生が走馬灯のように駆け巡るというが、列車の車窓に見知った顔の人たちが次々と映し出されると焦るだろうな・・・
[海原にて]
船にまつわる怪談じゃないか!と思いつつ読み進めると、海の上を走る新幹線の幻を目にする!?最後にさらりと明かされる日本が滅亡したという驚愕の未来!
[シグナルの宵]
双子の片割れと名乗ってまで、行きつけのバーに戻ってきたのは何故か?まだ現世に未練があったのか?
[最果ての鉄橋]
死者の増加に伴う輸送量アップのため(?)三途の川に鉄橋を架けて、列車を走らせるというアイデアにはくすりとさせられる。そして、鉄橋から落ちると現世に舞い戻る仕組み(?)には苦笑。
[赤い月、廃駅の上に]
鬼月と呼ばれる真っ赤な月の夜、街外れの駅には、「よろしくないもの」が降り立つという本作は、表題作だけあって、気合の入った恐ろしさ。「かつて誤解から『鉄道なんてくるな』と避けたせいで、便のよくないところに駅ができてしまった」という「鉄道忌避伝説」というものがあるとは知らなかった。
[途中下車]
厄災を免れたのは亡き妻の導きなのか・・・
朝の通勤電車内の読書 [本]
最近、朝の通勤電車の中で日本経済新聞を読むのを止めて、文庫本を読むように変えてみたところ、結構ページが進んで、快調なペースになっている。
わずか30分程度とはいえ、ある意味「すき間時間」の有効活用といえるだろう。
新聞は、事務所に着いてから、ザッとながめる程度で十分のように思える。
千円札は拾うな。 [本]
前に結構ベストセラーになっていたと思うが、そのときは読まなかったが、今回、
文庫本になったのを機に、読んでみた。
活字が詰め込まれていなかったので、プレッシャー無く読み終えた。
千円札を拾うという行為を例示として挙げて、目先のことに拘泥するとして、全
体を見通すことができなくなることを戒める氏の言葉は説得力があった。「『本郷
猛』を鍛えてはいけない」という部分には笑ってしまったが、このような例示が出
てくるように、年代は近かった。
「売り上げを伸ばすために顧客を捨てる」「大切すぎる顧客は作らない」という部
分は、なるほどとは思うが、なかなかできないことだろうとも思った。もっとも、この
ような会社は伸びないという結果が伴うのだろうが。
わが社も、人員が削減されて来ていて、仕事が回らないという声が現場のあち
らこちらから聞こえてくる中、そろそろ思い切って業務を整理しないとならない。
「戦略に合わせて会社を変える」、捨てる業務というものを見定めないといけな
い時期に差し掛かっている、いや、そんな生やさしいものではないな、それが急
務であると認識すべきなのだろう。
業務の選別、顧客の選別、「捨てる」勇気、なかなか刺激的な内容だった。
千円札は拾うな。 (サンマーク文庫 B- 112) (サンマーク文庫)
- 作者: 安田 佳生
- 出版社/メーカー: サンマーク出版
- 発売日: 2008/08/05
- メディア: 文庫
シヴィリアン・コントロール [本]
読んだ西部邁著「核武装論」(講談社現代新書)にシヴィリアン・コントロール(文民制御)
のことが書かれていた。
核武装論――当たり前の話をしようではないか (講談社現代新書 1884)
- 作者: 西部 邁
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/03/16
- メディア: 新書
そもそもこの著書を手に取ったのは、その過激ともいえるタイトルに心惹かれるものがあっ
たたからなのだが、日本が核武装に踏み出すというのは、「唯一の被爆国」であるという国
民感情からするとかなりのタブーとなるのだろう。確かに核について論ずることを避けている
ようなところがあるし、それ以前に軍備のことについて議論することも憚られるような雰囲気
にあるわが国なので、西部氏の議論をしようよという姿勢はそれほど違和感はなかった。
タイトルを見ただけでは、どんなタカ派の人物が書いているのかという思いで、おそるおそ
る読み始めたのだが、ご本人は「ガンディ主義」を標榜されており、氏の主張する内容全て
が理解できたわけではないのだが、言っていることのところどころはなるほどと納得できる
モノだった。
それはさておき、「シヴィリアン・コントロール」であるが、「防衛大臣には相当の軍事的情
報と軍事的経験とが要求される」とし、「もっとも妥当なのは、『長期間にわたって軍人であ
った者』(もしくはそれに相当する軍事的能力を持つと評価される者)がその地位に就く、た
だし就任時および就任後には、その人物の軍隊にかんするヴェステド・インタレスト(既得権
益)を断つために、『軍籍から離脱させる』という意味で文民になる、というやり方でしょう。」
と述べる。
すなわち、政治、経済、文化についてほとんど知らない軍事オタクのような人では相応しく
ないし、軍事の知識・経験をまったく持たない「文民」に戦争や平和の指導をされたのでは
悲劇的な事態に直面させられかねないという主張は、至極まともに思える。
さて、翻って、件の前空幕長さんは、明らかにその素養に欠けていたと言わざるを得ない
のではないだろうか。
カール・セーガン [本]
てのこと。
宇宙の神秘を絡めつつ、地球の、というよりも、人類の未来に至るまで想いを馳せて、
幅広いテーマを取り上げ、なおかつ素人にも分かり易いように自らガイド役も務め、悠
久の宇宙の営みと人類が今そこに抱えている危機について、一科学者として淡々とし
た語り口で語りかけるその内容には深い感銘を受け、著書の「コスモス」も購入して読
みふけったことを思い出す。
そして今回、「百億の星と千億の生命(Billionns&Billions)」という文庫本で、再び
カール・セーガンの名を目にした。しかし、氏は、1996年に既にこの世を去っている
ため、私はコスモスで氏に出会い、この本で氏に別れを告げたことになる。
その内容は、相変わらず多岐にわたっており、地球温暖化から妊娠中絶まで、この
地球とその地球上の生きとし生けるすべての生命、そしてその中でもある意味どうし
ようもなく愚かしい人類に対する深い愛情が感じられ、また、地球と人類の将来に一
抹の不安を抱きつつ、様々な警告を告げているカール・セーガンの人柄が偲ばれる
内容となっていた。
そして、晩年は「骨髄異形成症候群」という病気との闘いの末、この世を去った氏の
壮絶なる闘病の様子が家族の回想も交えてつづられていた。
その最期の様子が痛々しく、ご本人も最期の最期までこの病気を克服すべく努力し
たし、周囲の人々も回復を切に願っていたが、その願いもかなわず亡くなられたのだ
ということを知った。
誠に遅ればせながら、氏のご冥福をお祈りする。
1分間勉強法 [本]
特に今日は朝から雨模様で、肌寒かったので、ブレザーを引っ張り出して、着込んでの出勤。
クールビズも明日までとなるが、既にクールな季節へと移行しているので、今年は惜しまれないな。クールビズが終わってしまうことが。
石井貴士著「本当に頭が良くなる 1分間勉強法」(中経出版)という本を読了。「ワンミニッツ・リーディング」というものに興味を引かれ、読んでみたのだけれど、この本はただ読んだだけではダメで、この方法を実践し、身につけなければ意味がない。
1分で本一冊が読めるなんてことが実現できたら、部屋に「積ん読」状態の数十冊の本を、一気に読み終えることができるので、夢のようなまさに「マジック」だが。まずは実践あるのみ。
それにしても、右手で本を持って左手でページを繰っていくという動作は、かなりやりにくいのだけれど・・・。
雑誌の休刊 [本]
雑誌「ラピュタ」が休刊になるという記事を見かけた。たまにしか買って読まないけれど、先日も書店で白いミニ万年筆が付録についているのを見かけたばかりだったので、ちょっと驚く。それなりに支持は受けている雑誌かなと思っていたのだが・・・。雑誌業界は厳しさを増しているようだ。
雑誌といえば、先日、「一個人」という変わったタイトルの雑誌を初めて購入した。【大人の読書案内】ということで、「2008年度上半期 人生、最高に面白い本」という特集を掲載していたので、思わず買ってしまった。普段、純文学等はほとんど読まないのであるが、なんだか刺激を受けて、少しは読み始めようかなと思い始めた今日この頃。